2016年9月24日土曜日

「鬼畜の家」わが子を殺す親たち 感想

 全く救いがないノンフィクションです。これがこの世に本当に起きた事件だということが,また,同じような虐待事件が毎年のように起きていることが信じられません。

 厚木市幼児餓死白骨化事件

 下田市嬰児連続殺害事件

 足立区ウサギ用ケージ監禁虐待死事件

 の3つの事件を石井氏の執念の取材と関連する人たちへのインタビューにより,克明なルポルタージュとして仕上がっています。よくここまで調べられたなと感心します。

 足立区ケージ監禁虐待では玲空斗君(3歳)がピザを勝手に食べたとして忍(父親)が首を持ち上げて怒鳴りつけます。「さい!さい!」と言って必死に謝る玲空斗君をついにはウサギ用のケージに入れるんですが,ウサギ用のケージは例え3歳児であっても体を屈ませてようやく入るサイズです。
 ケージに入れるだけでなく,朋美(母親)は玲空斗君と目が合うのが嫌という理由で,ケージを黒い布で覆いました。
 ある日,遂に玲空斗君は発狂したのか「あー!」「わー!」と騒ぎ始め,忍は猿ぐつわを玲空斗君にして再びケージに入れた翌朝息ができなかったのか窒息して死にます。

 涙が出ます。
 
 ただ,3つの事件の両親は全員イカれているんですが,その両親も全員狂っているんです。詳しくは本を読んで欲しいんですが,重度の統合失調症であったり,凄まじい虐待,何もしないネグレクトであったり,「普通の感覚」というのを到底養うことは不可能な環境です。
 だから悪くないというわけではないんですが,この負の連鎖を断たない限りは不幸な子供は永遠に生まれては狂人になり,また再び新たな子供が生まれては狂人に育っていきます。

 行政に任せた方が良いんですが,法律の絡みもあり,狂った家庭でも明確な虐待の証拠がない限り親子を引き離すことはできません。
 少子化で人口が減っていくなか,子供はこの国の宝です。
 最悪の状況になるまで介入できない現状を何とかすぐに介入できるような法律が整うことを祈るばかりです。

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