2016年7月28日木曜日

蠕動で渉れ,汚泥の川を 感想



 西村賢太の最新刊ですね。今回は短編集ではなく,長編です。とにかく凄いボリュームです。
飲食店でバイトをする貫太17歳が結局は最後に悪態で自滅するいつものパターンではあるんですが,今回はボリュームがあるんで際どいところまで追い込まれながらも最後まで何とか助かり,それが緊張→安堵→緊張→安堵ととってもスリリングです。

 とにかくリアルなのは,西村賢太が実際に味わった9割ノンフィクションだからです。木場や浜岡,店主や女子大生なども実際いたんでしょう。とにかくリアルで,人間の嫌な部分が凄い伝わってきます。
 17歳だから性欲も強くて,女子大生バイトのキュロットをこっそり嗅ぐあたりはヤバいです。しかしなぜだかとっても読みやすくて面白いです。
 木場のおせっかいや,浜岡の尻にしかれている部分や実の母の嫌な部分など,こういう人いるよなと何ともいえない気分にさせてくれます。
 西村作品は10割がバッドエンドなんですけど,悪いのは貫太だけじゃないというのは,作品を読んだ人全員が感じていると思います。

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